私たちは、過去にも未来にも直接働きかけることはできません。すなわち、過去も未来も変えることはできません。でも、私たちには常に「今」があります。食べるもの、着るもの。買うのかつくるのか。住む場所も、誰かにかける言葉も、付き合う相手も、すべて私が、あなたが、「今」選んでいます。私たちが積み上げる「今」が変われば、苦しかった過去も、不自然な未来も、少しずつ変化していくはず。そして、私たちはいつでも「今」を選択することができます。imatoでは、編集や執筆という行いを通じて、誰かや何か、どこかの「今」とつながる、そのお手伝いをしています。

私たちは、人間以外のあらゆる生き物がそうであるように、日が暮れるまで、生きることに懸命である「今と共にある暮らし」を目指しています。種をまき、野菜を育て、花を咲かせてまた種を取る。収穫して、料理して、いのちをいただく。庭を愛で、草を刈り、竹で柵をつくる。村の人々と共に、ときに真面目に、ときに笑って時間を過ごし、伝統を受け継ぐ。鳥の声に耳を澄まし、そよ風を喜び、夕暮れに誰かを思う。先祖に、家族に、ここにある「今」に感謝して生きる。奈良に暮らして10年。できたことも、できていないことも、これから実現していきたいこともたくさんあります。でもそうした生活を、手探りでも、人任せにするでなく、自分たちでつくる中で得た体感が言葉を生み、動きになり、編集に、ヨガに、魂が宿ると信じています。