imato

2022/06/06 23:27

日本社会が目指すべきビジョンを明確化するプロセスを見出そうと、国立研究法人科学技術振興機構(JST)が発行した報告書『15人の人文・社会科学系有識者が語る現状と未来』(A4版 48ページ)の制作をお手伝いさせていただきました。



テクノロジーは際限なく進化を続け、あっという間に漫画や映画で見た世界が現実になろうとしている感がすごい昨今ですが、そもそもテクノロジーは、私たち人間が自然の一員として幸せに暮らせるためのものであるはずが、「何のため」「誰のため」を考える機会が失われ、その力が衰え、なんなら軽視され、おざなりにされたまま「できるからつくる」というプロセスを進んだ先には、「テクノロジーを活かしてつくる健やかな社会」ではなく「テクノロジーによってつくられる極めて効率的な社会」が出現するような気がしています。
有識者の方々がそれぞれの人生を経て到達している視座からは、日本の現状そして2050年の未来はどう見えているのか、何をどうすればいいのか、または国が掲げる「第6期科学技術・イノベーション基本計画」に記された人文・社会科学と自然科学の「知」の融合をした「総合知」の生み出し方など、非常に充溢した内容になっています。
さまざま柔軟に対応してくださったJSTの関本一樹さん、発注いただいた聴き綴り本舗の西尾直樹さん、デザインとイラストを担当いただいた大原麗加さんと夜な夜なオンラインミーティングをし、イラレの画面を共有しながらあーだこーだ修正・調整していくという、普段はやらない制作スタイルは、ゴールがわからず右往左往しながらも、限られた時間の中でやがて全員が「いいね!」と思うベストに着地するという、まさに西尾さんが大切にされる「Co-creation(多様な立場の人たちと対話しながら新しい価値を生み出していく考え方)」な学び多き体験でした。
長くなりましたが、アカデミックな内容ですが、見やすく読みやすいデザインが施されていて、受け取ってもらいやすくなっていると思います。答えが書いてあるのではなく(そもそも答えなんかないけれど)、さまざまな視点や問いが紙面上のあちこちに置いてあります。ぜひリンク先のページにあるPDF版を覗いてみてください。
分析チームのみなさま、本当にお疲れ様でした。そして関係者のみなさま、西尾さんとつないでくださったミラツク西村さん、本当にありがとうございました。
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<インタビュー有識者一覧>
朝倉由希さん | 公立小松大学 国際文化交流学部 准教授
石原真衣さん | 北海道大学 アイヌ・先住民研究センター 准教授
上田洋平さん | 滋賀県立大学 地域共生センター 講師
ウスビ・サコさん | 京都精華大学 全学研究機構長(前学長)
神里達博さん | 千葉大学 大学院国際学術研究院 教授
日下菜穂子さん | 同志社女子大学 現代社会学部 教授
工藤啓さん | 認定NPO法人育て上げネット 理事長
坂出健さん | 京都大学 経済学研究科 准教授
塩瀬隆之さん | 京都大学 総合博物館 准教授
杉谷和哉さん | 岩手県立大学 総合政策学部 講師
冨山和彦さん | 株式会社経営共創基盤 IGPIグループ会長
林香里さん | 東京大学 大学院情報学環 教授、理事・副学長
藤原辰史さん | 京都大学 人文科学研究所 准教授
松田美佐さん | 中央大学 文学部 教授
村上祐子さん | 立教大学 大学院人工知能科学研究科 教授
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<クレジット>
発行|
国立研究開発法人科学技術振興機構
企画・取材・分析・執筆|
関本一樹(科学技術振興機構「科学と社会」推進部)
西尾直樹(株式会社聴き綴り本舗)
編集・執筆|
赤司研介(合同会社imato)
アートディレクション・デザイン・イラストレーション|
大原麗加
運営・分析補助|
荒川宗志、武田尚子、中林美果、分部雄太
協力|
西村勇哉(NPO法人ミラツク/株式会社エッセンス)
宮野公樹(京都大学 学際融合研究推進センター)
北海道大学 大学院教育推進機構 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)